約束を破る海外組、Kリーグユースシステムの根幹が揺らぐ
ベストイレブン
※一部要約
ドイツ2.ブンデスリーガのダルムシュタットで活躍するペク・スンホの国内復帰推進でKリーグが騒がしい。
全北現代と交渉を進めている間に、水原三星がユース時代にペク・スンホ側と作った合意書が公開されたからだ。
この合意書の内容によると、ペク・スンホは国内の舞台に進出するとき、水原所属だけで復帰ができる。
ペク・スンホは2010年、水原U-15ユースのメタン中学入学を前に海外進出を打診した。
スペイン留学をするペク・スンホに、水原はクラブ次元で1年に1億ウォン、3年間で総額3億ウォンを支援して成長を手助けした。
支援を受けると同時に、その後のメタン高進学を約束したが、ペク・スンホがバルセロナユースに入団してそれも実現しなかった。
このときに作った合意書に"Kリーグ進出時の水原入団"という内容が含まれている。
2021シーズンにKリーグリターンを推進したペク・スンホは全北と接触した。
伝えられた通り、水原との事前協議や調整はなかった。
契約書の最終サインだけを残していたが、結局全北は一歩引いて水原に優先権を渡すことにした。
法的紛争まで予告した水原も、全北が契約を事実上放棄したことにより、ペク・スンホ側とまずは対話を通じて葛藤を解くことにした。
水原の関係者は「今は法的対応をする段階ではないと見ている。全北との契約が行われたわけではなく、全北も手を引いた状態だ。まずは選手側と会ってみなければならないだろう。クラブがどのように進められるかについては内部で検討中」と現状を明かした。
数日前にも全南ドラゴンズユース所属からドイツに進出したパク・チョンビンが、全南の同意なしでFCソウルに入団した事実が明らかとなって問題が膨らんだ。
全南はパク・チョンビンがクラブの小中高ユースシステムのすべてを経験した選手なので、当然全南に戻るだろうと信じていたが、選手はソウルとすでに去年12月に契約を終えていた。
全南の関係者は「我々もKリーグ復帰の事実を記事で知ることになった。最初は選手の連絡先がなく、ソウルを通じて選手に内容証明を届けてくれと要請した。その後、エージェントを通じて選手と接触を試みて、既存の合意書の内容を履行してくれと促したが、返事がなかった。合意当時は選手が未成年者だったので、父母が保証人として行った部分だ。父母は最近までスイス現地の家を整理するため、海外に行っていたそうだ。昨日(21日)入国すると聞いたので、今は待っているところだ。クラブにとってはすでに選手が入団した状況なので、円満に合意書の内容通りに違約金支払いの線で解決することになりそうだ」と顛末を伝えた。
問題は単に選手がクラブとの道義的約束と法的契約を破ったことに留まらない。
ユース出身選手の契約不履行が、Kリーグのユースシステムの根幹まで揺るがしているという点だ。
自国、自チームで活用するために育てた選手が、国内の舞台も踏まずに海外に去れば、あるいは他チームに向かうなら、今後クラブはユースに投資する理由がない。
全南は「ユースの運営自体が優秀な選手を幼い頃に選んでKリーグでデビューさせ、チームの戦力として使うためではないのか。そこでさらに優れている選手が海外に進出でき、クラブは発生した移籍金収入を再びユースに投資する好循環構造を作ることもできる。続けてこういうことが起きているが、残念な現実」と心情を明かした。
ユースシステムに関して水原側もやはり歯がゆさを隠せず、「裏切られた感が大きい。全南もやはり何度も被害を受けたのではないか。選手を熱心に育てても他のところへ行ってしまう。上手くいっていたユースも、今やただのユースに過ぎなくなった。全南の光陽製鉄高も我々のメタン高もそうだ。Kリーグのユース政策維持と再発防止のためにも、さらに強化された措置が必要だ」と強化された規定の必要性を強調した。
先に韓国プロサッカー連盟は2018年、"準プロ制度"を導入して有望株に対するクラブの権利を保護し、若い学生選手のプロ早期進出に力を注いだ。
この制度で水原U-18メタン高のGKパク・ジミンをはじめとして、高校生選手がプロに足を踏み入れた。
だがここで終わってはならない。
Kリーグユースシステムが実を結ぶには、熱心に育てた選手が他クラブに奪われずに活用できる環境と規定がしっかりと整えられなければならないだろう。
すでに何度も類似した事例が起きていて、多くのKリーグ関係者が"再発防止"を促しているだけに、ユースシステムの根本を丈夫に支えられる制度的措置が必要に見える。
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