[パク・コンウォンのサッカー現場] アン・ビョンジュンの釜山、それからメディカルテスト
ベストイレブン
※一部要約
最近ずいぶん興味深い移籍があった。
Kリーグ2・2020のMVPと得点王をさらったアン・ビョンジュンが、当初有力な行き先として取り上げられていた江原FCではなく、釜山アイパークのユニフォームを着たのだ。
Kリーグ2で圧倒的なパフォーマンスを見せたアン・ビョンジュンだったのでほぼ全員が1部リーグ行きを予想していて、実際に江原のオファーがあった。
メディアを通じて知らされたことによると、メディカルテストに問題があったという。
アン・ビョンジュンの膝の状態があまり良くないということが見つかり、それによってほぼ成立していた江原行きが失敗に終わり、代わりに釜山行きが決定したのだ。
釜山では報道資料を通じて、アン・ビョンジュンの膝の状態についてよく知っているとし、徹底した管理で甘受するという意をあらわしたりもした。
かなり異例的なことの連続だった。
どうせこういうことになったので、メディカルテストについての話をしようと思う。
メディカルテストで移籍が不発になるケースは、ありふれてはいないがなくはない。
例えば過去にKリーグでは、外国人選手を獲得するとき、契約書に韓国で受けるメディカルテストで問題が見つかれば契約は取り消されるという条項を入れていた。
理由があった。
このような条項なしにいきなり契約した後、メディカルテストで問題が起きれば、頭を痛めることが多くあるからだ。
さらに、選手のいる現地のメディカルテストはやや信頼できない。
選手を信じるべきだが、操作された医療所見書でクラブが被害を受けることがあってはならないので、やむを得ずこのような状況を契約書に記している。
だが、経てば経つほど選手の利益を重視するFIFAの政策により、数年前からこうして契約書にメディカルテスト不合格のときは契約キャンセルという状況を入れることができない。
実際、FIFAの紛争で選手が勝つ事例がかなり多かったため、以前のような方法でクラブの権益を保護することはできないのだ。
そのため、今はメディアをしっかり受けてから契約書を書くのが一般的な慣行になった。
そうかと思えば、ときどき外国人選手が自分のいる他国あるいは都市でメディカルテストを行うよう要求することもあり、そういう場合はクラブと選手でくたびれる神経戦が繰り広げられたりもする。
クラブにとっては明確に選手の状態を確認したいので、選手が万が一にも操作された医療所見書を提出するのを防ぎたい。
逆に選手にとっては、クラブがメディカルテストを口実にあちこち引っ張り回す状況を避けたい。
メディカルテストをするので、その前に"入団テスト"式に練習試合へ送り出すこともあるからだ。
儀礼的な通過過程と見ることともできるが、意外と問題になる素地のある手続きがメディカルテストである。
だがメディカルテストの結果が無条件に契約不発に繋がるわけではないという点も留意すべきところだ。
やや過度かもしれないが、選手の移籍を中古車取り引きと比較してみる。
中古車を購入するとき、購買者は車両のあちこちを念入りにチェックする。
ところで新車ではないため、必然的に問題はあり得る。
例えば車両の表面に細かな傷が見つかった場合である。
しかしそのような良くない条件を考慮して中古車を買う場合もある。
車両の利用に問題がなければ、あるいは修理すれば使えると判断すれば、喜んで財布を開く購買者もいるのだ。
選手の移籍と関連するメディカルテストも同じである。
骨折など深刻な負傷に遭って今後数ヶ月プレーできなくても、それからのリハビリで健康を取り戻すことができたり、選手の体の状態が正常でなくても、より几帳面な管理があればいくらでも最適な技量を発揮できる状態なら、メディカルテストで不合格の判定が下っても獲得を進めることができる。
遠くに行くまでもなく、今回アン・ビョンジュンを抱えた釜山がそのような判断を下した。
体系的な手続きを通じて、抜け目なく計算して進めなければならない選手の移籍交渉だが、このように融通性を発揮することもできる。
アン・ビョンジュンの膝が良くないのに、釜山はなぜ獲得したのかと怪訝に思った人がいるかもしれないが、実務的な面では実際に十分あり得ることなのだ。
パク・コンウォンコラムニスト(元ソウルイーランド団長)
【関連記事】
・釜山移籍のアン・ビョンジュン、MVPが2部に残った最初の事例…「江原は膝に確信を持てなかった」