増田はチームとともに"背水の陣"を敷いた
ベストイレブン

※一部要約
増田が帰ってきた。
実力と人性と誠実さを備えた姿でKリーグファンの愛をたっぷりと受けていた増田が、ソウルイーランドFCのユニフォームを着て帰ってきた。
いつの間にか34歳になった増田の目標は明確だ。
"Kリーグ2優勝"。
前年度のリーグ最下位クラブが設定しにくいその目標を、益田は堂々と口にした。
彼の覚悟は目標と同じく気丈で固い。
また切迫している。
増田と会ったところは、ソウルイーランドの選手が宿泊しているホテルのロビーの閑静な場所だった。
彼はやや疲れているように見えた。
日程がギリギリでやむを得ず深夜に行われたのだが、そのため身体のリズムを重視する増田にとっては、疲れる時間帯だったためである。
それにもかかわらず増田はプロらしい姿をずっと維持していた。
疲労の素振りは隠し、浅い微笑みとともに落ち着いて対話を続けた。
彼に投げかけた最初の質問はやはり、"なぜKリーグに帰ってきたのか"だった。
増田は短く明瞭な返事を伝えた。
「ソウルイーランドから提示されたビジョンより、自分で判断した。優勝のためにここに来た」
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予想できない言葉だった。
底まで落ちたソウルイーランドでKリーグ2のチャンピオンになるというのは、簡単には出せない言葉だった。
これについて増田は「ソウルイーランドは昨シーズンの最下位クラブだが、以前に蔚山現代に身を置いていたとき試合をした記憶がある。そのときのチームのイメージが良かった」として、「キム・ヨングァンと挨拶を交わしたとき、"必ず1部に行き、優勝しよう"というメッセージをやり取りした。選手とともに生活した後も、チームは昇格の意志が強いという感じを受けた。みんなの力を合わせれば、良い成績を出せるのではないかと思う」と、過去の記憶と現在の可能性について、ソウルイーランドは成し遂げられると強調した。
続けて増田は、自分が今この瞬間にどういう覚悟で選手キャリアを過ごしているのかについても言及した。
「過去2シーズンの間に試合であまりプレーできなかった。もしソウルイーランドでもそういう流れが続くなら、選手生活をやめるだろう。そういう考えでここに来た。最大限に努力し、チームが優勝カップを掲げられるように貢献する」
増田はソウルイーランドと同様に、"背水の陣"を敷いたようだ。
これ以上退くところのないソウルイーランドとともに、増田も退くところがない。

サッカー以外の時間は増田にはない。
運動し、眠り、食べ、入浴し、そうして運動し、眠り、食べ、入浴し、ピタリと必要なことだけを残して日常を過ごす増田である。
彼は自分の生活サイクルを「面白くない」と表現した。
だが選手なので「当然だ」と力説した。
こうした増田の姿勢は、同僚の手本となっている。
シーズンが始まる前なのに、彼の到着だけですでにクラブは助けを受けているのだ。
中央MFの増田は、キム・ヒョンスソウルイーランド監督から"パス"についての注文をかなり受けているという。
増田は「後方からビルドアップをするとき、トップに一気に出さず、左右に散らして出ていけるようにしてほしいという言葉を聞く。周囲の選手がたくさん動けるようにということである。なので私は良いパスを供給しようと準備している」と語った。
中盤が弱かったソウルイーランドは増田の合流により、迫りくるシーズンではよりスムーズな試合を展開する見通しだ。
ソウルイーランドの主将アン・ジホも、中盤が弱かったチームがクラスのある増田の合流により、大きな助けを受けると予想した。
さらにはチームの結果に向けての増田の意思が強いため、彼からピッチ上の同僚に対して肯定的なエネルギーが伝えることができる。
先述したように、彼の誠実さがピッチ外に広がるのはもちろんである。
増田に、今シーズンどういう姿を見せたいかと尋ねた。
インタビューの最初の質問に対する返事のように、短く淡々とした答えが返ってきた。
「私が誠実かどうなのかはよくわからない。ただ、自分がやってきたようにこれからもそうするだろう。それが私だ」
