[鳥栖LIVE] "トーレスエフェクト"、必ず伝えたい実体
ベストイレブン

※一部要約
ともに練習してから10日を越えたのに、まだ「不思議だ」という所感を残したDFキム・ミンヒョクのように、アジアの舞台では見られそうにない"大物"フェルナンド・トーレスを目にするのは不思議だった。
おそらくベストアメニティスタジアムを訪れたファンや、鼻っ柱の高い日本メディアも同じ心情だっただろう。
一方で、最も至近距離にいる"部外者"の視線では羨ましくもあった。
おそらくトーレスやアンドレス・イニエスタ、ルーカス・ポドルスキが日本Jリーグ入りをしたというニュースに接したとき、多くの韓国サッカーファンがそういう感情を覚えただろう。
なので悩みに陥った。
やはりKリーグはこのような選手を抱えることができないのではないかという疑問だ。
そしてJリーグや中国スーパーリーグのスター選手獲得をめぐって、ファンの間で論争が起きる。
ある人が言う、鶏が先か卵が先かに近い消耗的な論争である。
その論争の応えを少しでも見つけるため、トーレスがプレーするサガン鳥栖のホーム鳥栖を訪れた。

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アジアをはじめとする第3世界圏で世界的名声を得ている選手がプレーするというのは、結局老後のための"金"のためという見方が支配的である。
最上位の舞台でプレーして頂点から降りる時期が来た選手にとって、残り僅かなキャリアで最も重要な要素の一つは金銭的な待遇だ。
そしてその要求を満たせるところはアジア、特に中国と日本、あるいは中東である。
中国や中東の場合は私たちが知っているように、"サッカーに狂った"大金持ちや王族の"マネーパワー"によってスター選手の獲得が成り立っている。
日本の場合、特にサガン鳥栖の場合は多少違う。
サガン鳥栖は日本Jリーグでよく見られる地方の中小都市のクラブでしかない。
資本金の規模は8億8975万円(韓貨で約89億ウォン9000万ウォン/サガン鳥栖HP公示)である。
2007年に扉を開いた江原FCが創立資本金として集めた90億ウォンと同じ水準に過ぎない。
トーレスの年俸が76億ウォンという日本メディアの推定値が事実なら、サガン鳥栖は事実上、腹よりへその大きい選手を抱えたと言える。
果たしてサガン鳥栖はどうやってトーレスを買い入れたのか?
2つの側面からアプローチしなければならない。
まずは堅いスポンサー企業を確保しているという点だ。
サガン鳥栖はJ1リーグ昇格後、日本国内で急成長しているゲーム企業であるサイゲームスの投資を受けている。
サイゲームスは最近、ユベントスとのスポンサーシップなど、サッカーマーケティングにかなりの情熱を見せており、サガン鳥栖への投資もやはりその延長戦に置かれていると言える。
だが信頼できるスポンサー企業ができたといっても、トーレスのような大物を迎えるのは無理である。
実質的な原動力は別にある。
韓国ファンにもよく知られている英国メディアグループ・パフォームの、DAZNとJリーグ連盟が結んだ超大当たりの中継権契約だ。
Jリーグが2017年から10年間で総額2100億円(約2兆1200億ウォン)というとてつもない中継権収益を上げてできた金が、会員企業のクラブに流れている。
一見これもやはり、中東の王族や中国の大金持ちのような、"目の眩む金"のように感じられるかもしれない。
だが冷静には違う。
韓国的な見方から脱してこそ、実体を見ることができる。
例を挙げるなら、私たちは中継権収益を、放送局から特定のスポーツ団体に代価として払う金だと感じている。
もちろん文字そのものに含まれる意味なら正しい。
だが公共財の指向が強い私たちの放送企業とは違い、外国は徹底的に商業的である。

DAZNに限って説明するなら、最近数年間の日本ではテレビではなく他の手段、例えばインターネットを活用したプラットフォーム(PC・タブレット・モバイルなど様々なデバイス)でスポーツを見る消費者層に注目した。
韓国になぞらえて説明するなら、最近数年間の大型ポータルサイトで試合を見ることをいう。
だが異なる点は明確だ。
日本では金を支払う。
サッカーだけでなく、野球など様々な人気スポーツも、同じように有料視聴する文化が定着した。
だが韓国はせいぜい広告視聴である。
さらにはそれすらも嫌だという人々が存在する。
DAZNは日本Jリーグと中継権契約を結びながら、試合のレベルや選手個人の技量レベルには特別な意味を置かなかった。
もっぱら多くの人が金を出してみるという点に注目した。
要するに、DAZNが日本Jリーグに2兆ウォンを越える巨額の中継権料を投資したということは、Jリーグのとてつもないファン層を通じて、今後10年間でそれ以上の収益を上げられる自信があるということだ。
つまり、そのような脈絡で、トーレスのような大物選手はファンが買ったと見ても差し支えない。
資本金が90億ウォン水準に過ぎないサガン鳥栖が、年俸76億ウォンのトーレスを買うことができた秘訣は、このような中継権収益を通じて財政がかなり堅くなかったからである。
付け加えるなら、最近世界を注目させたトーレスやイニエスタの獲得もやはり、DAZNがJリーグ連盟に影響を与えて作り出した結果だという日本国内の分析もある。
サッカーファンなら誰もが知っているほどの選手がリーグでプレーしてこそ、より多くの収益を上げられるという分析だ。
実際にトーレスやイニエスタのような選手がリーグで走り、Jリーグの露出度はさらに増えた。
さらにクラブのMD収益にも肯定的な余波を及ぼしている。
そうかと思えば、DAZNはどうすればサッカーファンがさらにサッカーの面白さに没頭できるかに注目している。
1試合にカメラを最大16台も投じるほど力を入れている。
要するに、Jリーグ各クラブに巨額が分配された中継権料は、レベルが高くて面白いからと言って誰かが与える報奨金ではない。
厳然たる投資だ。
当然サイゲームスがスポンサー企業に乗り出したのも"後援"ではなく、自社の広報効果を最大化するための"投資"に近いとみなければならない。
キム・ミンヒョク、「トーレスと同じチームというのが本当に不思議」
ベストイレブン

※一部要約
トーレスとともにピッチで走ったキム・ミンヒョクは試合後、ベストイレブンとのインタビューで「まずは本当に不思議だ。トーレスのような世界的選手が、私と一緒に練習して試合までプレーするというのが本当に不思議だ。一緒にいるだけでも多くを学べるだろう」と答えた。
だがチームが敗れて惜しさが大きいという意をあらわした。
キム・ミンヒョクは「トーレスのような良い選手が私たちのチームに来たので、勝ったらもっと良かったはずなのにすごく残念で、チャンスを活かせなかった。試合は毎回上手くやってるのに、今日も終盤に失点してしまった。残念だ。ホームのファンにも申し訳ない」と語った。
一方、キム・ミンヒョクはチームが降格圏に置かれていることについて危機感を持っており、できるだけ早く反騰したいという意をあらわした。
キム・ミンヒョクは「負担は常に持っている。私は外国人選手なので」と切り出し、「チームが下位圏なので毎試合負担がある。勝てば本当に良いのだが、チャンスを活かせなくて結果を出せないようだ。だがもっと最善を尽くす」と語った。
サッカーマガジン編集部 ベースボール・マガジン社 2018-07-24