Jリーグ冬王国の2人の韓国人、キム・ミンテ-ク・ソンユン
ゴールドットコム
※一部要約
日本北海道は人口500万を越える地域だが、プロサッカーチームは一つだけである。
規模がより小さな日本の地方にも3~4のプロサッカーチームがあるのとは事情が違う。
北海道コンサドーレ札幌は日本最北端のプロサッカーチームであり、北海道を代表するチームだ。
既存のコンサドーレ札幌というチーム名の前に、2016年から北海道を追加したのもそのためである。
冬で有名なこのチームには2人の韓国選手が所属している。
チャン・ウェリョン、チョソンファン、チョ・ソンジン、イ・ホスンら韓国指導者や選手との縁はあったが、今みたいに2人の選手が一緒にプレーしたことはなかった。
リオオリンピック代表出身のMFキム・ミンテとGKク・ソンユンである。
コンサドーレ札幌は念願の昇格に成功した2017年、5年ぶりにJ1に復帰した。
Jリーグ参加後の20年間で1部リーグにいたのはわずか6シーズンに過ぎなかった。
それも2シーズンは昇格後すぐに降格させられた。
2016年にJ2チャンピオンの資格で昇格したが、2017年のコンサドーレ札幌を眺める見通しが悲観的だった理由である。
だが予想を裏切って余裕を持って残留した。
勝ち点43で18チーム中11位を占めた。
一緒に昇格した清水エスパルス(34点、14位)が最後まで苦しい競争の末に残留したのと比較された。
札幌史上で2001、2002年から16年ぶりに2年連続J1でシーズンを行うことになった。
残留の競争力はホームの成績、そして守備だった。
12勝のうち9勝をホームで上げた。
しっかりとした守備組織力でホームでは負けないというイメージで、その中心にキム・ミンテとク・ソンユンがいた。
ベガルタ仙台から移籍してきたキム・ミンテは、オリンピック代表のときのように守備型MFとCBを行き来する全天候の活躍をした。
ク・ソンユンは度重なる好セーブショーで一気にJリーグトップクラスのGKに躍進した。
コンサドーレ札幌のキャンプ地である沖縄で24日、両選手に会うことができた。
前日には全北現代との練習試合に出場し、久しぶりに韓国選手を相手にしたりもした。
両選手から残留の原動力と2018シーズンの備えを聞いてみた。
Q.昇格初年度の2017年に予想外の好成績で残留した。
キム・ミンテ:Jリーグで初めて移籍しました。シーズン中盤まではよくプレーしていたが、一度負傷してからコンディションが落ち、試合出場が減ったのが残念だったが、目標にしていたチームの残留を達成できて嬉しかったです。J1で続けられるということが最も良かった。
ク・ソンユン:私は札幌とともに2部リーグで2年ともに過ごして昇格しました。最初はやはり1部リーグのチームはレベルが違うと思ったが、続けてみると適応しました。できるだけ熱心にしました。個人的には100%の満足ではないが、チームの成績がちゃんと出たので最終的には満足したシーズンでした。
Q.札幌突風を分析するにあたって、守備の役割が大きかったという評価が多かった。
キム・ミンテ:私は元々MFだったが、DFの1人が負傷して開幕3試合目からは3バックの一軸を担いました。去年初めて3バックを経験して、不慣れな部分がありました。MFの習慣があったので、攻撃的に出てミスに繋がったりもしました。それでもDFを見てサッカーを新たに学びました。様々なポジションをしっかり消化できるという自信ができました。
ク・ソンユン:シーズンに入ったときは簡単ではなさそうに見えたが、試合をするたびに私をはじめとするチームメイト全員が適応していき、良くなっていく姿を見せました。もしかしたら期待以上の成績を出せるという気がしたのですが、それが現実になりました。
Q.ホームで特に強かった(9勝4分け4敗)。ホームの平均観客数も大きく増加した(2017年に18418人、前年比26.5%増)
キム・ミンテ:主に2部リーグにいたチームだったが観客がたくさん来ます。北海道で唯一のチームなので、多くの人が好きなようです。いつも2万人近くの観客から圧倒するような雰囲気が出るのでホームで強いようです。ホームでは負けそうになく、どんなチームが来ても勝てるという自信を持つことになったのは、やはりファンの役割が大きかったです。
ク・ソンユン:ウォーミングアップのときに私の名前を大声で呼んでくれて、そのとき気が引き締まります。興奮するというのだろうか?試合でより集中することができます。観客が多いのを見ると、声援のお陰で力がさらにたくさん出ます。他チームの選手も札幌ドームは雰囲気が違って気持ちがおかしくなるというほどです。試合開始前に入場するたび鳥肌が立ちます。
Q.ク・ソンユン選手は3シーズン連続でリーグ33試合に出場した。1部リーグに来た昨シーズンは34試合中1試合だけプレーできなかったが?
ク・ソンユン:累積警告のためでした。
キム・ミンテ:セーブをあまりにもよくするからです。チームのファンの信頼がすごい。
ク・ソンユン:自信はあったが1部リーグに対する疑問符もつきました。セレッソ大阪にまず入団したのですが、公式戦どころか練習試合にもまともに入れなかった選手だったのに、2部リーグから1部リーグまで上がってきました。リーグの事情、試合内容の把握が難しくて心配していたのですが、毎試合行って次第に余裕が生まれたようです。自信を持って自分のプレーをしました。
Q.評価が垂直上昇したようだ。GK補強を望んでいる上位チームが欲しがっているという話もあった。
ク・ソンユン:良く見てくれているのは感謝したいがまだまだだと思ってます。守備的な運営をしていたチームなので、去年は私にボールが多く来て防ぐ回数が増えて評価が良かったようです。その他では足りない点があるのをよくわかっています。埋めなければならないことが多いです。
Q.キム・ミンテ選手は16試合に出場した。移籍初年度で成功裏に安着した。今年はもう少し高いところを見据えると思うが?
キム・ミンテ:新しい監督(ミハイロ・ペトロビッチ前浦和レッズ監督)が来て新しいサッカーを学んでいます。今年のチーム内でかなり成長できそうです。今シーズンは私が勝負に出なければならないシーズンであり、サッカー人生の基点になるということをよくわかってます。今シーズンを上手く過ごして、代表をはじめとする高いところへ上がりたいです。
Q.全北との練習試合のとき、ペトロビッチ監督が最もたくさん呼んでたが?
キム・ミンテ:監督はCBから中盤とビルドアップを合わせながら進めることを重視しています。3人の選手に最も気を使って練習もたくさんしています。要求される部分が多くならざるを得ません。日本は特にビルドアップを重視していますし。まだミスもするが、その中でもずっと成長できていて楽しく学んでいます。
Q.全北との練習試合はどうだったか?両選手ともKリーグを経験してなくて見慣れなかっただろうが?
キム・ミンテ:Kリーグで最も強いチームらしく、代表選手が多く抜けていてもみんなが知っている選手がいました。やはりフィジカルが強かったです。運動量も多くて全体的に速いチームでした。カウンターでピンチを何度も迎えましたし。それでも韓国選手と試合をして面白かったです。
ク・ソンユン:数日前から全北と試合をするという話を聞いて、ワクワクと緊張が共存していました。アジアでも強いチームなので、(※代表の)7人が抜けても難しいだろうという恐れもありましたし。Kリーグチームとは初めての試合だったので、他の練習試合よりはドキドキしました。競技場内で韓国語が聞こえるのも珍しかったです。
Q.ペトロビッチ監督が就任した。今シーズンの成功に向けた札幌の強い意志が伺える。
キム・ミンテ:広島、浦和がなぜ強いチームになったのかを体感しています。サッカー人生で運動するとき、1分1分をこれだけ集中して練習したことがどれだけあったのかというほど、一言で学ぶことが多くて目新しいです。まだ札幌は中下位圏チームで残留争いが現実的ですが、この監督と続ければチャンピオンズリーグ出場を狙える、また優勝に挑戦するチームになれるのではないかと思うほどです。
ク・ソンユン:昨日試合をして前よりも高い位置で始めました。チームのフォーメーションは攻撃的に変わりました。今後はパスをミスしても監督が望むスタイルを試みたなら褒めて下さい。責任を負うから挑戦し続けろと励まして下さい。それでこそ"怖がらずに一度してみよう、次にまた良いパスができる"というマインドで試みて、自信が大きくなります。視野も広くなった。そういう部分を大きく実感しています。
Q.リオオリンピック以降、両選手とも日本で着実に成長しています。ク・ソンユン選手は去年、シン・テヨン監督体制の代表にも一度招集された。キム・ミンテ選手も目標だと言った。
キム・ミンテ:Jリーグで確固たる地位を固めなければ、選ばれるのは難しいレベルなのが代表というところだとわかっています。一つづつ階段を踏んでいるけれど、まだかなり不足しています。今の位置が現実だということを認め、もっと成長して結果を出さなければなりません。より良い選手にならなければなりませんね。2、3年後には代表でチャンスを得て地位を固められる選手になるため、一日を地道に送ります。
ク・ソンユン:年代別代表になるたびにいつも臆していました。韓国で有名な選手と練習すれば、自分のプレーを見せられなかったようです。招集が終わったらそのような部分でいつも悔やんでました。10月にA代表に行ったときは、すべて見せたわけではないが後悔は残しませんでした。今は所属チームで上手くやって、それが積もっていけば代表で見てくれるのではないかと思います。
Q.ク・ソンユン選手はJリーグ5年目、キム・ミンテ選手は3年目。サッカー以外ではどう過ごしている?
キム・ミンテ:札幌は本土とは距離があり、韓国選手が多いところへ行くには飛行機に乗らなければなりません。他の韓国人Jリーガーとは試合のときでなければ会うのが難しいです。幸い札幌は大都市ということもあってすることが多く、食べ物も豊富です。ソンユンと一緒に過ごすのが休日の業務です。仙台では1人で孤独でしたが、ソンユンがいるチームに来てからは頼りになってます。運動をよりしっかりできるようになりました。
ク・ソンユン:ミンテ兄さんが来る前までは私も1人でした。通訳の兄さん以外は韓国語で話すことがありませんでした。ミンテ兄さんとはオリンピック代表のときもルームメイトでしたが、2人が同じチームでプレーしたら面白いという話が現実になりました。私もミンテ兄さんが来てから余裕ができました。安心して打ち解けて話せる相手ができたのが大いに役立ってます。
【関連記事】
・コンサドーレ札幌GKク・ソンユンがJリーガーとして生きていく方法「韓国に帰らずセレッソで堪えたのが良かった」
・【インタビュー】キム・ミンテ「最初は行きたくなかったが“モチカタ”でベガルタ仙台入団を決めた」「夢はレアル・マドリード入団」