[深層インタビュー] "WKリーグ1号日本人"千明「新しい経験をしに来ました」
大韓サッカー協会

※一部要約
南山千明はWKリーグ初の日本人選手だ。
女子サッカー選手としては若くない年齢で、韓国で初めての海外生活になったのは、新しい経験への挑戦意識のためである。
千明は韓国に来て1ヶ月しか経ってない。
先月23日に華川KSPOに入団した千明は、14日の利川大教戦でWKリーグデビュー戦を行なった。
WKリーグで日本人選手がプレーしたのは千明が初めてだった。
千明はデビュー戦を含めて4試合連続先発出場し、華川KSPOの主戦MFとして早くも溶け込んでいる。
華川KSPOの練習場で会った千明は穏やかな様子だった。
千明が華川KSPOに早く適応したのは同僚の助けが大きかった。
主将ソン・ユンヒがルームメートとして生活を助け、在日同胞出身のカン・ユミが通訳を引き受けて他の同僚やコーチングスタッフと疎通をスムーズにしている。
今回のインタビューもやはりカン・ユミの通訳で行われた。
海外生活も、宿舎生活も千明にとっては人生初だ。
日本では普通に出退勤の生活をしていたためである。
「サッカーをするのに良い環境が揃ってます。サッカーに集中しています。サッカー以外の余暇の時間は自由にゆったりと楽しんでます。韓国語の勉強も時々しています。宿舎生活は初めてなので良い経験をしていると思います。みんな親切にしてくれて不便なことはありません」
「シーズン中にチームを移ること自体が難しいことです。まだ適応している段階です。しかし人々が本当によくしてくれて問題ありません。あっ、でも後半期のリーグ開始前に練習(体力練習)したのはすごく大変でした。日本では普通、シーズン中にそのような練習をあまりしません」
突然の変化にギクシャクしたが、千明はこれもまた良い経験になるだろうと笑った。
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千明は20代をなでしこリーグ1部の名門チームで過ごした。
2003年から2010年までNTVベレーザで53試合に出場して6ゴールを決め、2011年から2016年まではINAC神戸で80試合に出場して12ゴールを決めて活躍した。
両チームを経て多くの優勝カップを掲げ、日本女子代表でもプレーした。
それなりに成功的なキャリアを積んだが、千明はそれに満足せず韓国で新たな挑戦に出た。
「日本には海外に進出する選手が多いです。周りの同僚を見て、私も一度は海外に出てみたかった。その国の文化も学んで、色んな経験をしたかった。チームマネージャーに話したとき、韓国はどうかという話が出ました。INAC神戸で(チ・)ソヨン、(チョ・)ソヒョンら韓国選手と一緒にしていた記憶があるので、韓国でサッカーをするのも良さそうだと思いました。そんな中で華川KSPOというチームの紹介を受けました」
千明は韓国選手と一緒にした記憶が好印象として残っていると言った。
「韓国選手はフィジカル能力が優れ、サッカーを本当に上手にしていました。熱心にもやってました」

日本の千葉県で生まれた千明は、6歳のときからサッカーを始めた。
サッカーが好きな実兄の影響だった。
すぐに地元の女子サッカークラブに入ってサッカーをした。
「日本では小さい頃からクラブでも、学校でも、どこでもサッカーを学ぶことができます。中学、高校、大学もです。なので専門の職業サッカー選手ではなくても、趣味でサッカーを楽しんでいる女性が多いです。フットサルもたくさんしています」
日本には地域、あるいは学校ごとにサッカークラブがあるので、女子児童も自然とサッカーに接することができるというのが千明の説明である。
底辺の広さは日本がFIFAランキング6位の女子サッカー強国になれた理由でもある。
千明もやはり小学校までは趣味でサッカーを楽しみ、職業サッカー選手の夢を持つようになった。
「小学校の時、ある友人がNTVベレーザユースチームのテストに行って合格するのを見ました。私もそうしたいと思いました。ベレーザは本当に上手な人だけを選ぶチームです。競争も激しく、テストで脱落する人も多い。そういうチームでやってみたいと思いました」
希望通り千明は13歳だった1998年にNTVベレーザユースチームのNTVメニーナに入団し、5年後からNTVベレーザでプレーした。
千明は日本でサッカー選手に成長し、基本の重要性を悟った。
日本では基本を忠実にするサッカーを強調するためである。
「長所はパス、短所はフィジカルだと思います。WKリーグに来てフィジカルが足りないことをかなり感じました。今後はウェイトトレーニングもたくさんする計画です。すぐにはフィジカルの良い選手と正面からぶつかっても勝てないので、もう少し頭を使って考えるプレーをしようと思います」

まだ4試合プレーしただけだが、千明が感じたWKリーグは激しくてパワフルだった。
なでしこリーグでしていた細かいパスプレーとは違いがある。
WKリーグで7年プレーして、去年日本に進出したチョ・ソヒョンもやはり、明確に違うプレースタイルに適応するため試行錯誤を経験したと明かしたことがある。
千明はその逆の過程を経ているわけだ。
「まだ韓国に来てからあまり経っていないのでよくわからないが、WKリーグを実際に見ると、フィジカル能力の優れた選手が本当に多いみたいです。全体的にパワーがあり、激しいプレーをします。試合数がすごく多いのも驚きました」
なでしこリーグは正規リーグがチーム当たり18試合だが、WKリーグは28試合である。
18ラウンドまで終えた現在、華川KSPOはWKリーグで4位だ。
去年惜しくも4位に留まって、3位に与えられるプレーオフ進出権を逃しているので、今年こそはプレーオフに進出するというのがカン・ジェスン監督をはじめとする選手団全体の目標である。
シーズン中に千明を獲得してMFを補強したのもそのためだ。
千明もやはりチームが目標を達成するために、自分の役割を果たすという覚悟である。
「毎試合勝つことに集中しています。プレーオフに絶対進出して優勝したいです。私が持っている能力をすべて発揮し、チームが勝てるよう助けます」
WKリーグの舞台を踏んだ初めての日本人選手というのは、千明に責任感を持たせている。
チ・ソヨンら韓国選手が着実に日本へ進出して活躍しているだけに、その反対も徐々に増えるよう願う気持ちである。
「これまでは韓国選手が日本へ行って良い活躍を見せていたじゃないですか。今は私が韓国に来て、良い姿を見せたいです。私をはじめとして他の日本選手も多く韓国へ来て、活躍を繰り広げてほしいと思います」
女子サッカー選手として充実したキャリアを持つベテランだが、千明はサッカーをする上で満足はないと言った。
「年齢はもう30を超えているが、まだもっと挑戦したいです。経験もさらに積みたい。もっと強くなりたいし、もっと成長したいです」