英国人サッカージャーナリスト「蔚山はなぜ失敗した監督を迎えたのか？」「Kリーグには少し野心に満ちた動きが必要」

2017-04-29

[デューデン寄稿] 蔚山はなぜ失敗した監督を迎えたのだろうか？
フットボールリスト

※一部要約

英国出身のサッカージャーナリスト、ジョン・デューデンが"フットボールリスト"でKリーグについて文章を寄稿しました。
デューデンはBBC、ニューヨーク・タイムズ、ガーディアンなどでアジアサッカーに関するニュースを伝えています。
<編集者注>

トッテナムで苦戦したティム・シャーウッド監督を覚えていますか？
降格圏にいたアストンビラで更迭されたまさにあの監督のことです。
シャーウッドはその後、リバプールの監督の座を得たでしょうか？
違うでしょう？

理由は簡単です。
そんなことが起こるはずないからです。
しかし韓国サッカーでは、失敗やまあまあな能力が、不注意なクラブによって補償されたりします。
何のことでしょう？

水曜日（26日）、蔚山現代がホームで鹿島アントラーズに0－4で大敗してACLから脱落したことは、それほど驚くことではありませんでした。
"虎"にどんなことが起きようと、そうなるだけにことはあったからです。
蔚山は過去10年間でKリーグ優勝を2回も占め、5年前にはACL優勝までしたチームでした。
一言で、ビッグクラブでしょう。
だから訝しむのです。
蔚山はなぜキム・ドフン監督を雇ったのでしょう？
キム監督は仁川ユナイテッドで失敗したキャリアがあります。
キム監督のサッカーは退屈だったし、数多くの敗北で汚され結果も良くありませんでした。

キム・ドフン監督がレベルの低い監督だと判明したと言おうとしているのではありません。
しかしキム・ドフン監督は、まだ韓国サッカーの最上位リーグの監督を引き受ける準備ができていないということが、はっきりとあらわれた状態でした。
彼がもし自分の能力を証明したければ、下位リーグで指導経験をもっと積まなければならなかったと思います。
それからおそらくKリーグクラシックでまた別のチャンスを得ることになっていたでしょう。

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しかしアジアサッカーで最も成功的なクラブの一つである蔚山は、そうではありませんでした。
（仁川の監督から退いていた状態だった）彼にアプローチして、監督の座をオファーしました。
蔚山がそのような決断を下した理由は、キム監督が優秀なスター選手だったからだというのが、私たちが唯一下せる結論です。
何の論難もありませんでした。
しかしみんな知っている通り、優秀な選手がいつも良い監督になるわけではありません。

韓国サッカーだけで起こっていることではありません。
ヨーロッパでもスター選手出身は、規模の大きなクラブで監督のキャリアを始めやすいです。
そうではない指導者が下位リーグでキャリアを始めている間に。
しかしスター出身の監督が失敗することになると－よくある方でしょう－それへの代償（？）として、より大きなクラブで職場を得ることはほとんどありません。

水原のレジェンドであるソ・ジョンウォン監督の場合を見ましょう。
水原は2012年にソ・ジョンウォン監督が就任してから良くなれずにいます。
もちろんチャ・ボングン監督時代ほどの良い支援を受けられずにいるというのはあります。
今シーズンのリーグで水原は、ライバルを乗り越えることに失敗しています。
ACLで水原がおさめている成績は、水原のようなクラブに相応しくないような不振です。

もちろん水原は相変わらず今シーズンのACLで16強に上がれる可能性があります。
しかし強豪チームの広州恒大を無条件に倒さなければならない状況でしょう。
これまでおさめた2勝はどちらも香港のクラブ（イースタンSC）が相手で、水原が広州を下して16強に上る可能性はそれほど高くないのが事実です。

ソ・ジョンウォンは失敗したと言おうとしているのではありません。
しかし問題は野心です。
水原はKリーグで最高のクラブになろうという野心があるのでしょうか？
ソ監督はろくに指揮できなかったと言う訳にはいきませんが、それでもすごいサッカーを見せたと言うこともできません。
ただ月並みな（mediocre）レベルでした。

Kリーグにはもう少し野心に満ちた動きが必要です。
Kリーグクラブが月並みな指導者を優待する雰囲気を終わらせなければならりません。
仁川監督時代を振り返ってみてください。
キム監督が蔚山の監督になるのは難しいでしょう。

ティム・シャーウッドは今どうなのか？
シャーウッド監督は3部リーグクラブのスウィンドン・タウンの団長を引き受け、事実上の監督の役割をこなしました。
それでチームが4部リーグに降格し、責任を取って退きました。
韓国人だったら良かったと思うかもしれないでしょう。