[442.interview] サウサンプトンが語る"ユースというのは・・"
FourFourTwo

※一部要約
22日から坡州NFCで第2回2016リーグ幼少年指導者アカデミーが行われた。
運動場に降りていく23クラブのU18チームの監督やコーチ陣は3グループに分かれ、術技の授業を受けていた。
笑い声がとりわけ大きかったグループが目を引いた。
彼らの中にはあどけない顔の外国人コーチがいた。
サウサンプトンユースアカデミーのコーチ、ルーク・ミドルウィックス(22)である。
彼は2泊3日で坡州に留まり、ユース指導者を教育する。
<フォーフォーツー>はミドルウィックスに会った。
サウサンプトンの哲学と指導方式、そしてミドルウィックス個人の話をする。
Q.会えて嬉しい。昨日韓国人コーチと練習したがどうだったか?
A.本当に楽しかった!ユース選手を育成するコーチのための席であると聞いていた。私の意図をよく理解して応えていたいので本当に良かった。素晴らしかった。アメリカやドイツでサッカーを経験したが、韓国でも良い経験をした。私のほうがより助けを受けたみたいだ。
Q.韓国に来る飛行機の中で"これだけは必ず教えなければ"と考えたことはあったか?
A.何かを教えるというよりは練習を通じて強調したいことがあった。最も重要なのは楽しさだ。2番目としては、攻撃時に相手の守備を圧迫することと支配することを強調したかった。(442:適用は上手くいったか?)本当に感動的だった。(韓国の指導者やコーチ陣の)レベルが予想したものよりはるかに高かった。(坡州NFCの)施設も良かった。練習するのに不足はなかった。みんな理解力が早かった。言語の障害はあったがまったく問題にならなかった。
Q.自身がサウサンプトンでユース選手を指導するスタイルはどうなのか?
A.実際にコーチするのはそれほどすごいことではない。試合や練習が終わったら、まず"そう、そうだ、よくやった"と言う。それで試合のシーンを振り返る。例えばゴールを決めたシーンが出る。私たちが訓練、練習したものが土台になって出たゴールなら自分にやりがいを感じる。逆にそういうゴールじゃなければ、それも選手が自分で感じることができる。また練習することになるキッカケになる。
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Q.選手がそのように直接映像を見れば、練習過程の他にも得るものが多いと思うが。
A.ミニゲームをすると仮定しよう。ゲームをする前、選手に私が要求することを教える。そして映像を通して選手がそのゲームを振り返るようにする。"成功的に上手くやったか?"を自ら考えさせるようにする。そのときに誤ったことがあれば、そのシーンをまた見る。誰の責任で、またこうしたミスが出てきたときは誰が対応しなければならないのか、振り返らせるようにする。彼らが自ら"私は何をしなければならないのか?"と考えることである。本当に重要だ。選手もわかっている。同僚のミスが出たときに誰がまず反応しなければならなくて、どう反応しなければならないのかを選手同士でわかっていくことができる。すると互いのプレースタイルもわかるようになる。選手はみんな違うと。また、自分を教えるコーチについても理解していく良い過程だ。
Q.年齢が若くて驚いた。22歳だというがコーチをするには若い年齢だと感じる。コーチキャリアが気になる。
A.私の年齢をどうやって知ったのか?(笑)。正しい。私は15歳からコーチを始めた。当時はボーンマスに暮らしていたが、地元のチームをコーチし始めた。18歳になった。コーチをするのはすごく面白かった。しっかりと学びたかった。アメリカに渡って多くのことを学んだ。2013年末にまたイングランドに戻った。ボーンマスに入って8~12歳チームのコーチをした。U21チームと共生してたくさんのものを得た。そうやって段階別にコーチ生活をして、サウサンプトンが私をスカウトした。

Q.15歳のときからコーチをするのは容易ではない。コーチをすると決心したキッカケがあったのか?
A.実は若いとき私は良いサッカー選手だった。たぶん私は今までプレーしていれば、はるかに高いレベルでサッカーをしていた。だがそうはできなかった。負傷があまりにも多かった。サッカーをやめた。そうしてるうちに時間が経って15歳になり、サッカーが懐かしくなった。グラウンドが懐かしかった。選手の代わりに、サッカーに影響を与えられる方法を探した。より良い方法が何なのかを考えて、コーチに決心した。幸い適性に合っていた。人に教えて若い選手を発展させるのはすごく良かった。彼らにより良い教育環境を提供し、彼らが能力をもっと育てられるように助ける、その過程がすべて良かった。選手が前に進められるようにしていく、それがすごく良かった。コーチとして最高の地位に上りたい。もちろん将来は大言壮語できない。だが今私がしている仕事を熱心にやり、勉強も熱心にやれば、どんなことが起きるのか誰にもわからない(笑)。
Q.幼い少年が挫折を打ち破って立ち上がるのは容易ではないことである。そうやってコーチになると決心したことに影響を与えた決定的な要素はあったのか?
A.私固有の考えだった。自分がしたいことは何なのか、明確に知らなければならない。選手以降の人生までのことだ。私は体育教師になりたかった。だがサッカーをしばらくやめていた期間に知ることになった。私はグラウンドの中にいたかった。なのでコーチを選んだ。誰かに教えることを上手くやったし、選手を発展させることを楽しんだ。当時の私はすごく若かったが、本当に情熱的だった。その道を継続して深く入り込んだ。
Q.子供たちの挫折を最も近くで見守る立場だ。本人の経験を基に助言したりもするのか?
A.状況によって異なる。同じ状況でも私のメッセージが通じる選手がいて、そうじゃない選手がいる。先程言ったように、選手のスタイルはみんな違う。選手と時間を多く過ごすしかない。そうしようと努力をたくさんする。私が過去に犯したミスや試行錯誤を選手に話す。子供たちがそうしたミスをしないように。何であっても決定は彼らの役目だ。私はただより良い決定を下せるように助ける立場である。
Q.サウサンプトンユースアカデミーの出身メンバーは華やかだ。ルーク・ショー、アダム・ララーナ、ギャレス・ベイルまでいる。イングランド内でもプレミアリーグ最上位のレベルだと評価している。サウサンプトンだけの秘訣はあるのか?
A.信頼(trust)、機会(opportunity)、信念(belief)である。簡単だ。子供たちに信頼を与え、機会を与える。すると子供たちは1軍に行けるという確信を持てる。良いコーチ陣、良い環境、そして良い選手が噛み合わさったとき、最も大きなシナジー効果が出る。実際にどのチームでも私が言った要素は持っている。重要なことはチームの哲学がどれだけ溶け込んでいるかだ。
Q.チームの哲学とは?
A.毎年1軍の選手団の半分以上をアカデミー卒業生で満たすことだ。そのために私たちは、選手の才能と実力を育てることに死力を尽くす。全アカデミー出身選手が1軍でプレーできるように育てるのが目標だ。
Q.<フォーフォーツー韓国版>12月号にサウサンプトンユースアカデミーの話が掲載された。練習だけでなく勉強も重視していた。
A.韓国のサッカー選手はサッカーだけをすると聞いた。サウサンプトンではサッカーと勉強は5:5である。選手である前に人だ。社会人としてしっかりと生きていくためには、勉強をしなければならない。大切だ。サウサンプトンには多くのコーチがいるだけに先生も多い。みんな一緒に子供たちを訓練し、教える。重要度は5:5の比率である。

Q.コーチにとっては練習と勉強のバランスを合わせるのは容易ではないだろう。
A.そう。バランスを合わせるのは実際ちょっと難しい。それ以前に勉強そのものが難しい(笑)。だが本当に重要な部分だ。将来を見なければならない。個人の人生も大切だ。子供たちが私たち(サウサンプトンの)政策を受け入れられず、教育をちゃんと受けられなければ、それも結局は私たちの誤ちである。子供たちがサウサンプトンアカデミーに来た以上、責任は私たちにあるのだから。教育をしっかりと受けられるように理解させなければならない。教育もサッカーの一部である。そうは言っても私たちの枠組みに子供たちを無理に合わせようとはしない。ある程度の妥協点はある。一人ひとりが持っている能力と私たちの政策が、しっかりと組み合わされなければならない。そうしてこそ子供たちも負担なく勉強ができる。
Q.最後の質問だ。多くの指導者が若い選手をプロの舞台にデビューさせるのを煙たがっている。"経験不足"という理由からだ。ルークの立場が気になる。
A.あぁ、それは本当に挫折だ。文字通り挫折である。プレーできなかったら経験をどうやって積めるのか?今年のプレミアリーグデビューの平均年齢は22歳だ。デビューするために約16年間準備期間を持つ。12~14年間プレーするために16年準備するのだ。それでは準備期間は容易なのだろうか?本当に厳しい期間である。彼らが苦労して走り、練習する理由は何なのか?単純だ。誰かが「オーケー、君はできる!」と言うのを聞きたいからだ。その一言のために16年間準備するのだ。そういう点でサッカーは決定の問題と見ることもできる。監督の決定によって分かれる。そんな選手をプレーさせないようにするのは、彼らにとっては挫折そのものである。選手を発展させる意思がないということだ。それだと若い選手を育成するのは難しい。
中山 雅雄(筑波大学准教授・蹴球部総監督 JFA指導者養成サブダイレクター) マイナビ出版 2016-03-26