[スタジアム紀行] ⑥Jリーグ エンタープライズ、がっしりしたマーチャンダイジングの"根本"
インターフットボール
※一部要約
日本のプロサッカーJリーグは1993年に発足した。
これは1983年に発足した韓国のプロサッカーKリーグよりちょうど10年遅れの出発だった。
日本はJリーグを始める前、海外の多くのサッカーリーグを参考にしながら、数年間リーグが遠くに進んでいく方向性を研究した。
すでにプロ野球が国民的スポーツとして認められていた日本だったので、緻密に縁故地を選定し、遠い未来まで見据えてリーグ運営計画を細かく樹立した。
その結果、日本のプロサッカーは各地域に根を下ろしてしっかりと成長することができた。
驚くべき点は、その当時作られたリーグの長期計画に、各クラブのマーチャンダイジング商品開発に関する部分も含まれていることである。
リーグが始まって何と30年はゆうに超えているのに、まだチケット販売やスポンサーシップ以外に特別な収益創出をできずにいるKリーグとは異なり、Jリーグはその開始から収益多角化構造を作っておいたわけである。
今まさにマーチャンダイジング商品開発の重要性を理解した我が国のスポーツ産業と比べると、何と20年以上は先に進んでいるのだから、改めて驚くほかない部分である。
筆者は2015年12月に漢陽大スポーツ産業学科DeMerS(スポーツデザイン、マーチャンダイジング、セールス)の日本研修課程で、Jリーグと日本サッカー代表チームのマーチャンダイジング販売を担当しているJリーグ子会社Jリーグ エンタープライズのマーケティング部に身を置いているマエダ・アキヒコから、日本サッカー産業でマーチャンダイジング商品システムがどのような方式で運営されているのか、直接聞いてみる機会を持った。
─日本サッカー産業のマーチャンダイジング産業について簡単に紹介できますか?
現在、日本サッカー協会(JFA)はサッカー代表チームの商品開発の他にも、日本プロサッカークラブの商品開発に関するすべての権利を持っているが、JFAは1部リーグのJ1から3部リーグのJ2リーグに至るまで、52にもなる全クラブのマーチャンダイジング商品を直接開発して供給し、販売手数料を持っていくシステムを構築しています。
─各クラブごとに販売量が違うと思うが、どんな方式で商品を供給してるのですか?
予め需要を予測し、浦和レッズのような人気のあるクラブはより多くの商品を開発して供給し、相対的にファンの少ない下部リーグのチームには少ない量の商品を供給する柔軟な商品供給体系を通じ、Jリーグのマーチャンダイジング商品を全体的に管理しています。
─協会が全クラブの商品開発の権利を持つことに、一部の人気クラブは反対しないんですか?
協会が商品開発についてすべての権利を持つのは、人気のあるクラブにとっては十分不満が生まれるほどの要素です。
クラブは協会が予測する需要より多くの商品を販売できる可能性があり、またあえて協会が開発しなくても、クラブが十分自主的に商品を開発して直接販売できるからです。
実際に人気のあるいくつかのクラブはそのような不満を協会に表出したし、それに対して協会でもこれを認めて、協会から直接供給する商品の他に、追加的にクラブが自主的に商品を開発して販売したいのであればそうするように承認しました。
─それではJFAが作る商品とクラブが自主的に開発した商品にはどのような違いがありますか?
JFAが作って供給する公式商品とクラブが自主的に作った商品は二つともよく作られているので、デザイン的にどちらがより良いのかと言うことはできません。
ただし違いがあるとすれば、JFAが供給する製品には"JFA OFFICIAL GOODS"という商標を付けて、消費者がそれを区別できるようにしています。
日本にいる間にクラブのストアショップに行く機会があるなら、一度区別してくみてください。
─一協会が52にもなるクラブの商品をそれぞれきれいに作るのは決して容易ではないと思いますが?
はい。
確かに容易ではないことです。
しかし各クラブのマーチャンダイジング商品は、予め協会とクラブとの十分な協議を通じて、そのクラブが持つアイデンティティが十分あらわれるように、個性のある多様な商品を作っています。
また、人気のあるクラブだからといって商品デザインをより良くしたりすることはまったくせず、全クラブの商品開発で差別をしないよう多くの努力をしています。
─JFAがクラブのマーチャンダイジング商品を管理するシステムが持つ最大の利点は何だと考えていますか?
クラブが追加的な利益をおさめられる機会を提供しているわけなので、このシステムを通じてリーグ全体が一緒に成長できます。
直接商品開発をすることが限られている中小規模のクラブはチケット販売とスポンサーシップの他に、JFAが作る公式商品の販売を多様な収益を作り出す機会にしています。
中小規模のクラブが成長すればリーグが全体的にしっかりして、それは人気クラブにとっても利益として返ってくるものです。
換言するなら、リーグの全チームが共生できる機会を与えているという点が、現在JFAの構築しているマーチャンダイジング商品システムの最大の利点と言うことができます。
マエダとのインタビューのすぐ二日後、日本プロサッカークラブの一つであるセレッソ大阪のストアを訪れ、協会では言葉で聞いていただけのマーチャンダイジング商品がどんな方法によってクラブで販売されているのか直接経験することができた。
今はキム・ジンヒョン選手が所属していて過去にはファン・ソンホン監督が選手として活躍していたセレッソ大坂は、現在2部リーグのJ2リーグに所属している。
ここ数年は1部リーグと2部リーグを行き来する微妙な戦力を有しているが、それでもストアには多様な商品が販売されていたし、ショップ内にあるクラブ歴史館は非常によく構成されていた。
スペイン語で"桜"という意味を持つ"セレッソ"というクラブの名に相応しいように、ストアショップの内部はすべてピンク色だった。
衣類についている商標を確認し、マエダ氏に聞いたマーチャンダイジング商品の供給主体の表記名を区別する妙味を感じることができたし、スポーツをするとき気楽に着られる運動服を始めとして、日常生活の中でも気楽に着られるフーディにいたるまで、衣類商品の範囲が非常に広かった。
また、セレッソ大阪とまったく縁がないのにフーディを買った友人にその商品をなぜ買ったのかと尋ねたら、「単にきれいだから買った」という返事を聞くほど、商品のデザインはやはり良かった。
衣類商品の他にも、クラブが自主的に作ったポップコーンも非常に印象的だった。
東京ドームと甲子園を訪れたときにも感じたことだが、日本のプロスポーツ産業ではクラブが自主的に食べ物を開発することが流行っているようだった。
まだ我が国ではそのような試みをしているのを見たことはないが、スポーツ観戦には自然と食べ物がついてくるものなので、確かにクラブのマーチャンダイジング商品開発で食べ物の商品は失敗しにくい魅力的な商品のようだった。
5日間日本のスポーツの現場を訪れて最もたくさん感じた感情は、他でもない"羨ましい"だった。
直ぐ目の前ではなく、数年後を長期的に見据えて行動し、何かを成し遂げる日本のスポーツ協会とクラブの姿一つ一つが本当に羨ましかった。
もちろん日本のサッカー産業がしているマーチャンダイジング商品システムを、同じように真似て私たちもしようということは決して言わない。
我が国でも最近では商品競争力を強化するための多様な努力を見せている。
多くのクラブが今ではマーチャンダイジング分野の重要性を理解していて、それなりに商品を開発している。
もちろんまだ足踏み段階の過程にあるだけで足りない点も多いが、クラブのそのような変化は明らかに時間が経つほど、我が国だけのマーチャンダイジング商品の生態系を作って光を放つと見る。
マエダとのインタビューの中で「KリーグもJリーグのように多様な商品を販売する市場を形成できそうですか?」という私の質問に、彼は断固として「無理です!(※日本語)」と答えた。
いくつかのKリーグクラブ関係者がJFAを訪れ、マエダにクラブ運営についての諮問を求めている事実を考慮すれば、確かに彼はKリーグについて詳しく知っていて、"無理"と答えたのもある程度私たちの現実を勘案した返事だったのだろう。
だがこれは明らかに彼がまだKリーグの変化を感知できずにした返事だと思う。
願わくば、いつかまたここを訪れることになれば、彼が私に以前"無理"と言ったのは間違いだったと、私の予測が間違って申し訳なかったという謝罪を聞きたい。
ユン・ドンヘ(漢陽大スポーツ産業部4年生)