(※これの続き)
※一部要約
─あなたのチャレンジ精神は本当に"スゴイ"だ。ところでよくKリーグはJリーグに比べてすごく激しいという。両リーグをどちらも経験したあなたの意見はどうなのか。
私もやはり共感する。
毎試合やるたびにこうして大小の負傷をするのは日本ではあまり経験できないことだ。
─そんな中であなたに最も激しく相対する相手選手は誰か。
浦項の守備型MFだが名前は分からない。
試合中に私をかなり困らせた。
だが単純に激しいのではなく、すごくタフでありながらも上手いという感じを受けた。
─たぶんファン・ジスじゃないかと思う。それでは反対に、蔚山にいて本当に良かったと感じる選手は誰か。
キム・シンウクとク・ボンサンだ。
キム・シンウクはあまりにも身体条件が良いので、私が正面からぶつかればおそらく100回中100回負けるだろう。
キム・シンウクとの激突は意味のない戦いと同じだ。
またク・ボンサンはすごく強く、相手を圧迫しながら運動量も多い。
そういう面は相手チームにとって大きな負担になるだろう。
─Kリーグはかなり激しいので、細かなサッカーを駆使する日本選手は成功できないという意見もある。あなたはどう思うか。
それも合っている意見だ。
だが私はそれに加えて意見をさらに一つ出したい。
ずばり練習方式についてだ。
過去にKリーグに進出した日本選手たちは、韓国の練習方式に上手く適応できなかったようだ。
韓国の以前の練習方式は軍隊のようなトレーニングで、そんな方式に日本選手はかなり苦労したと聞いた。
だが今は韓国も高圧的な練習方式から脱したし、蔚山もやはり同じだ。
今なら日本選手もKリーグの舞台に十分適応できると思う。
─もうユン・ジョンファン監督とともに過ごした時間も3ヶ月くらいになった。ユン・ジョンファン監督の練習方式はどうなのか。
最初は馬鹿みたいにガムシャラに走るサッカーしかできないのかと思っていた。
だが実際に経験してみると意外だった。
一瞬一瞬の創造力を重視するサッカーを駆使しようとする努力がよく見える。
考えるサッカーを要求するので、初めてユン・ジョンファン監督を見て思い浮かんだガムシャラに走るサッカーというイメージとはかなり違うサッカーだった。
また、ガムシャラに走るサッカーではなく、速い攻守の切り替えをとても重要に考えている。
組織的に動く姿を最近になって徐々に見せてきている。
ユン・ジョンファン監督が来て蔚山は良い方向に変わっているようだ。
─あなたは日本国内でも人気クラブの鹿島で長年プレーした。日本国内での認知度はどのくらいなのか。率直に言って欲しい。
人気?
そんなのはなかった。
私はただ黙々とプレーする選手だ。
─それでは簡単に例を挙げて欲しい。Kリーグなら"このくらいの認知度の選手だ"と誰かに例えて言えるだろうか。キム・シンウクくらいだったとか。
ええっ、どういうことなのか。
キム・シンウクの今の人気は、日本での私の人気と比べれば天だ。
私はそのまま蔚山の新人選手くらいの認知度がすべてだった。
─すごく謙虚だ。新たに獲得したジェパロフとの呼吸はどうなのか。シーズン序盤だがすごく合っているようだ。
ジェパロフが私に合わせている感じだ。
ジェパロフは実力的にもすごく良い上に、ボールを任せればリズムを作れる選手だ。
彼の後ろにいる選手はすごく試合をしやすくなる。
─だが過去に城南時代の彼を指揮した監督は、彼に酷い評価を下したりもした。
(パク・ジョンファン監督のこと:キム・ソンジュンはこの監督に殴られたことが原因でセレッソに移籍してきた)
まったく知らなかった話だ。
あんなに上手なジェパロフに良くない評価を下したというのは信じられない。
いったい何と言ったのか。
─記者会見場で「ジェパロフは選手でもない」と毒舌を飛ばした。
それはちょっと酷いのではないかと思う。
それが監督の考えなら仕方ないが、ジェパロフが私たちのチームでやってるのを見てくれ。
すごく上手ですごく重要な選手だ。
─ところがその監督が更迭されたとき、ジェパロフはSNSで"グッドニュース"という文章を残したりもした。
それはそれでまた良くない行動じゃないだろうか。
そういうのはそのまま口に出さずに、心のなかだけで喜べば良いのに。
─それではあなたはチョ・ミングク監督が更迭されたとき、心のなかで"グッドニュース"と叫んだか。
いや。
私はまったくそんなことはなかった。
─分かった。今シーズンの蔚山の最も強力なライバルは誰だと思うか。
やはり全北が最も強力であり、浦項も無視できないと思う。
だが私たちも侮れない。
全北がいくら良い選手を多く獲得したといっても、私たちは全北や浦項に比べて組織的な能力でまったく引けをとらない。
私の個人的な意見だが、Kリーグで私たちほど組織力を備えようと努力し、組織力を重視しているチームないないと思う。
─それでは今シーズンの目標は何か。
もちろんチームの優勝だ。
2013年に私たちは優勝目前で失敗した。
本当に今考えても表現できないくらい悔しい。
Jリーグでは3回の優勝を経験したが、Kリーグで外国人として優勝すれば、それはまた違った意味がありそうだ。
望むのは優勝しかない。
─個人的な目標は何か。
全試合に出場したくて、具体的には5ゴール5アシストくらいできれば本当に良いだろう。
─今シーズンの目標の他にも選手生活全体の目標も気になる。
今年私は30なので、38歳まで選手生活をしたい。
また、リーグでもFAカップでも優勝を毎年できれば本当に良いだろう。
歳をもう少し取れば、同僚にとって対話や経験を通じて学ぶべきところがある選手になりたい。
また、Kリーグに華やかではないが誠実なプレーをしていた増田が蔚山にいたということを、多くの人々が覚えておけるようチームに貢献したい。
─それでは最後に、あなたを待っていた蔚山ファンに一言ほしい。
ええっ、私はそんなに人気があったり華やかな選手ではないので、あまり待っていたファンもいないだろう。
─いや、本当に多くのファンがあなたを待っていた。
それではこんなに華やかでも卓越したものもない選手を待って応援してくれて、本当にありがたいという言葉を伝えたい。
言葉でありがたみをあらわすより、グラウンドで優勝で報いたい。
蔚山が優勝トロフィーを持ち上げる姿を必ずファンにお見せしたい。
蔚山に戻ることになってすごく嬉しい。
キム・ヒョンフェ
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