[現場ルポV] ①Kリーグのベトナム生中継、韓流とサッカーの間
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※一部要約

ベトナム現地の11月21日土曜日午後1時。
ハノイのノイバイ国際空港で降りて急いで荷物を探して市内に向かった。
Kリーグの試合がすでに現地で生中継され始めたからだ。

その時刻に全州ワールドカップ競技場では、全北現代と城南FCのKリーグクラシック37ラウンドの試合が行われていた。

ハノイ市内のプクカフェ(PUKU CAFE)に向かった。
1階はコーヒーショップ、2階はパブである。
週末の夕方、サッカーを見るのに最も良い場所を探していて知ることになった。
前もって交渉しておいたところである。
カフェに入るとすぐに職員が「韓国からサッカーを見に来たのなら2階に上がれば良い」と案内した。
カフェの2階にあるTV二台では、全北と城南のKリーグが生中継されていた。
Kリーグがベトナムで生中継されているという事実が今実感できた。

カフェの関係者は「韓国サッカーがベトナムで中継されているのを知らなかった。いつもは週末の昼間にはTVを消しておいて、夕方の時間にEPLが始まればつける。特別に韓国から来たというのでTVをつけてあげた」と言った。
"Kリーグ"ではなく"韓国サッカー"という単語を使った。
ハノイでサッカーを見るのに最も良い場所でKリーグを知らないということは、一般人にとってもよく知られてないという意味でもある。

実際、カフェには10人あまりの客がいたが、TVに関心を持っているのは1~2人だけだった。
解説委員の声が大きくなればちらりとTVを見る程度の水準だった。
カフェ内にあるソファに座って談笑を交わしたり、ウトウトと居眠りをしている人がほとんどだった。

Kリーグ生中継は失敗したのだろうか?
単にこのカフェでは無関心なのだろうか?
Kリーグがベトナム内でスポーツコンテンツとして持っている潜在力がどれほどなのか気になった。


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Kリーグは10月からベトナム国営放送VTV系列の24時間スポーツチャンネル"TheThaoTV"と"BongdaTV"で生中継された。
スプリットシステム以降の10試合が対象だった。
Kリーグが海外で生中継されるのは、2011年のアメリカの"アメリカ・ワン"チャンネル以降4年ぶりであり、歴代で2回目である。

Kリーグの海外生中継は4年前と少し違う意味で解釈しなければならない。
アメリカの場合がコンテンツ輸出で終わったとするなら、ベトナムの場合は輸出だけでなくビジネス的側面でアプローチする必要がある。
中継権販売後に伴う産業の可能性は無尽蔵だ。
ベトナムはKリーグが直接的に関与できる近い国であるのに加え、Kリーグとベトナムがアジアという同じ市場を共有しているからである。

Kリーグの内需市場資本はますます枯れていっている。
毎シーズン投資規模が減り、すべてのチームが腰のベルトをきつく締めている。
多くのチームは資金を確保しようとする動きが足りない。
サッカーチームの基本要素である自活力を備えているチームはほとんどない。
親企業か市・道からお金が降りてくるのを待つだけの雰囲気である。
マーケティングという単語はクラブを通じて収益を出すのではなく、ファンを競技場の集めるという意味でしか使われない。
Kリーグクラブが考える金儲けの方法は、選手を海外に移籍させることだけだ。

そういう意味で、ベトナム現地の生中継は逃してはならないチャンスである。
東南アジアマーケティングを本格的に行える橋頭堡にすることができる。
もちろんJリーグはすでに2012年からベトナムやタイを含む東南アジア7ヶ国で大々的な投資をしている。
だがKリーグには韓流という武器がある。
ベトナムがJリーグの代わりにKリーグを選んだのも、韓流の流行という時代的な流れとともにしている。

VTVの有料チャネル系列であるVTVcab本社を訪ねた。
ホアン・ウオク・フアン代表に会った。
VTVcabはKリーグを中継するスポーツチャンネルのTheThaoTVとBongdaTVを運営している。
特にBongdaTVはEPLは基本としてイタリア・セリエA、ドイツ・ブンデスリーガ、スペイン・プリメーラリーガ、フランス・リーグアンの中継権を持っている。





ホアン代表のインタビュー内容は予想を大きく外れた。
Kリーグ生中継を決めたことについて「ベトナムの若い人々は韓国文化に馴染んでいる。ファッション、音楽、ドラマ映画など、多くの分野で韓国コンテンツが好きである。ベトナム文化は日本より韓国文化とさらに近い。サッカーでも日本のコンテンツより良いと判断した」と言った。
続けて「ベトナムでは韓国と日本のサッカーをアジアで最高だと思っている」として、「両国のうちどちらが良いと評価はできない。ただし韓国の方が私たちにより馴染みがある」と言った。

Kリーグの興行の可能性よりは、韓国という国が持っているイメージを見て中継を始めたという意味に解釈することができる。
Kリーグをサッカーとして見ているのではなく、韓流の一つとして見ていた。

もちろんKリーグを中継する理由は韓流に限定されない。
VTVcabのサッカーコンテンツはすべて現地時間の夕方に集まっているという特徴がある。
2013年からは週末の昼間に日本Jリーグが中継されたのもこのためである。
2013年夏にベトナムサッカーの英雄レ・コン・ビンがJ2コンサドーレ札幌に入団してからは、その熱気が非常に熱くなった。

だが2014年にレ・コン・ビンが自国リーグに戻ると、すぐにJリーグ熱は冷めた。
コンテンツに対する関心度も大きく落ちた。
Jリーグから生まれる話題が消えると、すぐにVTVcabも中継を中断した。
そして2015年秋、Kリーグが手を差し出した。
Kリーグ中継は週末昼のコンテンツという時間的特徴と韓流が調和して行われたわけである。

Kリーグの10試合は大きな事故もなくベトナム現地で生中継された。
反応が気になった。
Kリーグを中継したグエン・レ・フウィ解説委員に会った。
現地では3大解説委員の一人に挙げられる人物だ。

グエン解説委員は「まだ多くは知られてないが、私の周りではKリーグを見る人が増えている。ベトナムサッカーよりレベルが高いのは核心的な理由ではない。時間帯が良いのが最大の強みだ。週末の昼なので、多くの人がTVの前にいる」と言った。

グエン解説委員の言葉を理解するにはベトナム文化を調べる必要がある。
ベトナムは集団生活を好む。
一緒に見て、一緒に食べ、一緒に動く。
特にKリーグが中継された週末は家でTVを見ながら食事をする時間帯である。
暑い気候のため、朝や夕方は主に外部活動をして、昼の時間帯は家族で時間を過ごすのが一般的だ。
週末の生活パターンを見ると、Kリーグが中継された午後1~2時は、TVを見るのに最適な時間帯である。

これを裏付けるのが視聴率だ。
VTVcabが提供した視聴率によると、全北と城南の試合の平均視聴率は0.1%、最高視聴率は0.2%だった。
翌日行われた水原三星と浦項スティーラーズの視聴率は最高0.4%まで上がった。
同じ時期にブンデスリーガが0.1~0.2%、EPLが0.2~0.3%、ヨーロッパチャンピオンズリーグが0.3~0.4%程度を記録したというのを考慮すると、大きな差のない結果である。

ひとまず放送局側は満足している表情だ。
"私たちにも韓国サッカーのコンテツンがある"という点において満足度が高い。
タオ・プ・ハイBongdaTVプロデューサーは放送局内部の雰囲気を伝え、「KリーグとJリーグのレベル差はないように見える」としつつも、「日本と比較すると、韓国のコンテンツに対する魅力の方がより高いと思う」と語った。

ベトナム放送局がKリーグコンテンツに満足したのなら、その次の段階に進まなければならない。
放送局の雰囲気とは違って一般のファンの間では、Kリーグはそのまま"韓流"の現象の一つでしかなかった。
冷たく言えば、週末の昼にサッカーは放送されたが、ベトナムの人に馴染みのある韓国が出てくるので関心を持っている程度だった。





それならKリーグはどんな努力をしなければならないのか?
取材中に可能性の一つを発見した。
VTVcab広報チーム関係者とのミーティングで新たな事実を一つ知った。
芸能プログラム"パパ!どこ行くの"でアン・ジョンファンがベトナム全域で知られているという事実だった。

ホアン代表とのインタビュー中、全北FWイ・ドングが出演するKBS芸能プログラム"スーパーマンが帰ってきた"の話を持ちだした。
芸能とサッカースターを構成している芸能だと紹介した。
ホアン代表と広報チーム関係者は大きな関心を見せた。

ここで重要なのは、VTVcabが単純に韓国コンテンツの確保のためにKリーグを選んだのではないということだ。
彼らはKリーグに関する話を渇望していた。
Kリーグに関する放送があれば、積極的に広報できるという意思を見せていた。
Kリーグ生中継から進んで、より大きな絵を描くこともできるという意味である。

ホアン代表は「最高の中継をしたいがKリーグの情報と宣伝方法の不足で難しさを経験している。来年にはKリーグを浮かばせる確実な方法が必要だ」と言った。
グエン解説委員も「多くの情​​報を伝えたかったが限界がある。韓国のエージェント側から送られた英語の資料だけを見て、中継をして報道する。少し限界を感じた。記録的な部分は確認できるが、チームの歴史や最近のストーリーは分かりづらい」と言った。

Kリーグが直接出て解決する部分だ。
ベトナムの限られた情報でKリーグの人気を上げるのは難しい。
プロサッカー連盟や各クラブが能動的に出て、ベトナム市場と協力するのが最も理想的なシナリオである。

Kリーグを芸能やドラマスターと融合させる方法も良い例だ。
アイドルグループ・ビーストのユン・ドゥジュンはKリーグ広報大使である。
韓流芸能人がKリーグと会えば、ベトナムが必要としている話題は意外と簡単に解決できるかもしれない。
結局はアイディアの戦いだ。
Jリーグは数多くの投資をしてもベトナム市場で席を占めることができなかった。
話題を作り出せなかったからだ。
韓国は日本と比べて環境が非常に良い。
韓流という道具を活用できる。

プロサッカー連盟とVTVcabの橋渡し役をしてベトナム生中継を成功させたペ・チソンIAM理事は、「ベトナムの人が認めるコンテンツとしての地位を確立しようとするなら、単なる中継に終わるのではなく、追加的なストーリーがついてこなければならない。今回の10試合の中継である程度の成果をもたらしたが、潜在性と比較すれば満足するほどの成果を出すことはできなかったと思う」と評価した。


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