[ソ・ホチョンのキックオフ] 全北の槍を跪かせたオ・ジェソクの盾
ソ・ホチョンコラム




※一部要約

1週間前、ACL優勝に向かっていた全北現代の挑戦は大阪で止まった。
全北が脱落してKリーグは2008年以降、7年ぶりに最もや早くACLの日程を締め切った。
全北を挫折させたチームは去年Jリーグ3冠を達成したガンバ大阪だった。
8強1次戦に0-0で引き分けたガンバは、ホームの2次戦で接戦の末に3-2の逆転勝ちをして4強に上がった。
そしてその日、ガンバの右サイドを守ったのは韓国人選手のオ・ジェソクだった。

今年オ・ジェソクは再び分岐点に立った。
シーズン序盤のハムストリングの負傷で試合に出られなかった間、ライバルの藤春廣輝と米倉晃起が日本代表に招集されるまでの選手に成長した。
2013年よりは信頼を受けているが、去年と比べれば明らかにチームの主役ではない。
そんな彼に、今シーズン最大のチャンスであり危機が訪れた。
全北とのACL8強2次戦の先発出場だった。
Kリーグ最後の希望だった全北の大阪遠征は、いつもより多くのメディアの関心を集めた。
だが相手チームのガンバにいる韓国選手オ・ジェソクの存在は、試合前までまったく注目されなかった。
先発ラインナップが発表されオ・ジェソクの出場が確定すると、すぐにしばらく雰囲気が熱くなった。
そしてオ・ジェソクは後半20分に米倉と交代するときまで、全北の攻撃戦術の核であるレオナルドをしっかりと封じ込めた。
自分に与えられたミッションを達成したのだ。
彼に代わって入った米倉は後半追加時間に決勝ゴールを決めた。
オ・ジェソクが疲れさせた全北の守備ラインを突き破って決めたゴールだった。
試合後にガンバファンから大きな拍手を受けるオ・ジェソクの姿を見守るのは、妙な感情だった。
オ・ジェソク自身も同じだった。
重要な一戦でKリーグチーム相手に、それもエースを抑えなければならない状況は、交錯した運命のようだった。
試合後に韓国から来たメディアはオ・ジェソクに注目した。
だが残念ながら彼は試合後のドーピングテストに参加しなければならず、ミックスゾーンに出られなかった。
一日経って大阪と隣接している神戸で、オ・ジェソクは親しいチョン・ウヨンと席をともにした。


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オ・ジェソクが長谷川健太監督から全北戦の先発出場の通知を受けたのは試合3日前の月曜日だった。
ガンバは鹿島遠征で2-1の勝利をおさめて雰囲気を引き上げている状態だった。
8月と9月に入ってオ・ジェソクが出場した試合はたった1試合だった。
比較的最近といえるナビスコカップ8強2次戦(9月6日)でプレーしたのが、幸いといえば幸いだった。
オ・ジェソク本人もまったく予想できないことだった。
彼は「1次戦のときにむしろ試合に出るタイミングだと思って万全の準備をした。左SBで出る予定だったが、監督様の考えが変わったのか、週末の試合で勝ったメンバーが出た。そのときの失望感は大きかった。やはり2次戦でチャンスが来ないかと思っていたが、チャンスが来た」と語った。
全北戦出場の通知を受けた後、オ・ジェソクにやってきたのは期待やモチベーションではなく、心配と恐怖だった。
試合の持つ重要性がまず最初の理由だった。
様々な面で不利なのはガンバだった。
宇佐美が累積警告で欠場し、全北はゴールを決めて引き分けるだけで脱落だった。
次は彼が引き受けなければならない任務だった。
現在Kリーグ最高の外国人FWと言われるレオナルドを封じ込めることが、オ・ジェソクに与えられたミッションだった。

オ・ジェソクの告白は率直だった。
「サッカー選手なのに、その状況は負担になるので避けたかった。ホームで試合をして活躍したのがいつなのか思い出せないほどだった。全北との2次戦を準備していたその三日間は、これまでガンバで最も負担となる時間だった。私が投入される目的は明確だった。全北の試合をすべて見たが、レオナルドの体の状態は非常に良さそうに見えた。今回は米倉が入ればという気がするくらいだった。監督様は選手の前で今年最も重要な試合だと宣言したが、それまでの先発ラインナップで私だけが変わっていた。もし試合が上手く行かなければ、私の責任が大きそうだった。ガンバでのサヨナラ戦になるのではないかと思うほどだった(笑)。ストレスをかなり受けて3キロ減った。もともと敏感なタイプだが、それほど今回の対戦は大変だった」

「試合前日の練習では、負担感でまともな精神状態ではなく慌てふためいていた。運動に集中するべきなのに、頭に考え事が多かった。それを見た監督様は頭に来て、練習中に米倉に代えろと言った。コーチや他の選手が私を慰めるほど厳しく叱った。練習後にも監督様は私を別個に呼んで話した。もともとかなり親しい方なのに、そういう姿は初めてだった。日本に来て過ごした期間に成長した姿を見せろと言った。これほどの緊張感はガンバに来て初めて感じた」


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責任感と緊張感が同時に来てオ・ジェソクを圧迫した。
深刻なストレスがコンディションの維持を邪魔した。
彼を助けたのはホン・ミョンボ元監督の助言とガールフレンドの応援だった。
「もともと試合当日には昼寝をするのに、今回は睡眠もできなかった。読書をして、サッカーに関してメモをしていたものを見た。そこにホン・ミョンボ監督様が言ってくれた言葉を書き込んでいたものがあった。"選手が久しぶりにチャンスを得たり、重要な試合を前に投入されるとき、選手はほとんど頭の中で100点の完璧な試合かそれ以上の凄い試合を夢見るが、そんなときはむしろ少し物足りない85点くらいを目標にする選手の方が成功する確率が高い。圧迫感で自分を落とすことがあるからだ"という言葉だった。頭の中がクリアになって、私がするべきことが何なのか、答えを見つけたみたいだった。韓国で学んでいるガールフレンドにもかなり助けられた。私より精神力が良い。ほとんど仏様レベルだ。かなり頼っていて、試合前まで通話をしてから行った」

正気を取り戻したオ・ジェソクは、レオナルドを封鎖するための準備を終えた。
クラブが分析した資料の他に、全北の試合の映像を見て分析した。
直近の5試合を集中して反復視聴した。
練習が終わって家に帰れば、動画を付けて自分がマークしなければならない選手の特徴を把握した。
オ・ジェソクが考えた選手はレオナルドとイ・グノの2人だった。


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結局その日、オ・ジェソクが相手をしなければならない選手はレオナルドだった。
この日のレオナルドは、チームが取ったPKを成功させた以外、前半に何の活躍も見せられなかった。
後半もペナルティエリアに侵入してヒールキックを駆使した以外、オ・ジェソクのマークを外すことができなかった。
長谷川監督が1次戦から要注意選手と強調していたレオナルドを封じ込め、ガンバは自分たちの試合を解いていった。
勝利の女神はガンバのために笑った。

「監督様が与えたミッションは、前半に0-0か1-1までで守れということだった。0-0なら後半の状況をずっと見てプレーし、1-1なら後半20分に米倉と交代することになっていた。もし負けていれば前半が終わってからすぐ米倉と交代だった。終わってからミッションをクリアしてありがたいと言われた。試合後は監督様に会えなかった。決勝ゴールが炸裂して、嬉しすぎてグラウンドに乱入して退場されられた(笑)。それだけガンバにとってもその試合が切実だった。監督様が感情表現をそうするのは初めて見た」

「試合が終わって4強行きが決まったときは当然私もすごく嬉しかった。だが韓国選手がグラウンドに倒れているのを見ると気の毒だった。すごく複雑で微妙な感情になった。試合後にドーピングテストを受けることになってさらにチクリとした。
部屋の中で(チェ・)チョルスン兄さん、ウィルキンソンと向かい合わなければならなかった。
初めは沈黙だけが流れたが、少し経つとチョルスン兄さんが先に祝ってくれた。
試合についての話も交わしたし、次の相手である広州についての情報も教えてくれた。
改めて申し訳なく、ありがたい気持ちだった。


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全北がそうだったように、ガンバも1次戦が終わってから2次戦を行うまでの3週間で、徹底した準備と雰囲気の転換が必要だった。
基点となったのはナビスコカップだった。
長谷川監督は果敢な選択をした。
ホームで行われた8強1次戦で、これまで試合でプレーしてなかった選手を投入した。
代表4人が選出された状況だったし、体力的問題を経験しているパトリック、遠藤保仁、今野泰幸をすべて外した。
代わりにユースチームから上がってきた若い選手を大挙出場させた。
一方の名古屋は精鋭メンバーだった。
その試合でガンバは1-1の引き分けを記録し、チーム全体に新たな活力と新鮮な空気が回った。
2次遠征でガンバはオ・ジェソクを含めたベストメンバーで試合に出て、PK戦の勝利をおさめた。

「その過程を経てチームに自信が戻ってきた。そして鹿島遠征で再び2-1で勝ってできた良い雰囲気で、全北戦の準備ができたと思った。そしてコーチは自信に満ちた表情で、全北とソウルはどうなったのかと尋ねた。確認してみると、全北が3-0で勝っていた。コーチ5人の表情がすべて固まり、やはり全北は侮れないとしてブスッとなった。全北は厳しい時間を乗り越えるとすぐ流れに乗る。重要な一戦を前に、全北に新たな風を吹かせるようにしたソウルが少し恨めしかったときだった」


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雰囲気を作った後でガンバに必要なのは分析だった。
全北の攻撃を徹底して押し出す対策が必要だった。
また、宇佐美の空白でも勝利のゴールを決める方法を見つけなければならなかった。
前者のためにオ・ジェソクが用意された。
全北が1次戦で宇佐美を封じ込めるためにチェ・チョルスンを投じたように、ガンバもレオナルドを防ぐためにオ・ジェソクを投じた。
オ・ジェソクは「その日は私がガンバのチェ・チョルスンになった」と言った。
全北相手にゴールを決めるためには、日本スポーツ界特有の顕微鏡分析が動員された。
2次戦の勝負で決定的な影響を与えたガンバの最初の同点ゴールは、その分析から出た。
全北はPK先制ゴールを決めた1分後、平凡なFKの状況でオフサイドトラップを使って失敗し、同点ゴールを許した。
ガンバのコーチングスタッフは、全北のオフサイドトラップに脆弱な点があるのを把握していた。

試合中の遠藤の機知溢れる戦術変化の指示は、ガンバの2点目を作った。
オ・ジェソクは「前半に私たちの攻撃が上手く行かなかった。宇佐美の役割をしなければならない倉田がチョルスン兄さんに縛られていた。前半が終わって、遠藤が倉田に中央に動かないでサイドへ行けと指示した。チョルスン兄さんが倉田を追うことを知っていたからだ。そうなると全北は中央のボランチにイ・ジェソン1人だけが残る。遠藤は、後半には私たちがボールをずっと持って攻撃しなければならないので、そういう変化が必要だと判断して指示した」と説明した。
倉田は後半になってチェ・チョルスンをサイドに誘い、ガンバはボールを保持して試合を掌握した。
積極的なミドルシュートを試みて、後半31分に倉田が蹴ったシュートはリンスに当たってガンバの逆転ゴールが生まれた。

ガンバの精神力も際立っていた。
通常、JリーグチームはKリーグ、特に強い競り合いを楽しむ全北を相手に苦労するが、ガンバはこの日退かずに対抗した。
試合前に長谷川監督はガンバの選手の戦闘力を引き上げた。
オ・ジェソクは「ぶつかること、ヘディングをするときに退くなと言った。全北は強いチームなので、押されたらそのまま流れを渡す。1次戦のときも私たちは気力の戦いで押されて止まった」として、試合前にチームに漂っていた雰囲気を語った。
実際に長谷川監督と主将の遠藤は、試合前日の記者会見のときも精神力を強調していた。
長谷川監督はオ・ジェソクに、試合前は全北の選手と電話もするなと指示していた。

特別だったガンバの精神力を示した代表的な選手がブラジル出身のFWパトリックだった。
1次戦でキム・ヒョンイルのタフな守備に縛られていたのとは、180度違ったプレーだった。
オ・ジェソクは「1次戦が終わってパトリックは自尊心がかなり傷ついた。ヒョンイル兄さんに完全に制圧されたから。2次戦の内容は、パトリックが日本に来てからの試合で最高だった。最後まで闘志溢れる競り合いをするのを見て、チームメイトがみんな驚いた。1ゴール決めればそれに満足してペースが落ちるタイプの選手なのに、死力を尽くしているのを見て全員が感動した」と語った。


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見えない大きな貢献をして、チームが勝ったにもかかわらず、オ・ジェソクは試合後にほろ苦さを消せなかった。
その日の勝利の最大の主人公は、決勝ゴールを放った米倉だった。
米倉はオ・ジェソクの最大のライバルである。
オ・ジェソクは「試合後は感情が半々だった。嬉しいが惜しかった。最終的に主人公が米倉になったのを見て嬉しかったが、苦い気持ちもあった。ガンバで私がすべき役割について、考えなおすことになった」と語った。

全北戦で長谷川監督の特別なミッションを遂行したが、オ・ジェソクは自分た置かれている状況を冷静に分析した。
「その日は上手くやったがそれで終わりだ。また競争に戻る。今は私が追いかける状況だ。もっと奮発しなければならない」と語った。
彼の言葉通り、全北戦後の松本とのリーグ戦で、オ・ジェソクは出場できないまま待機名簿にだけ名前を上げた。
守備のスペシャリストが必要な状況では、長谷川監督は全北戦のようにオ・ジェソクを求めるだろうが、平常時なら米倉と藤春の方が先発の可能性が高い。
だがオ・ジェソクはそんな状況に感情的な動揺はない。
初シーズンで最悪の状況を経験しているからだ。

ACLはオ・ジェソクにモチベーションを与えるきっかけとなる。
ガンバは4強でもう一つの強豪である広州恒大と会う。
グラール、エウケソン、ガオ・リンのような特別なFWを防ぐためには、再びオ・ジェソクが必要になる。
オ・ジェソクは「今回じゃなければ次いつチャンピオンズリーグ優勝の機会が来るのか分からない」と言った。
ガンバは2008年の優勝以来、7年ぶりに再び優勝に挑戦できる最も高い位置に上がった。
遠藤をはじめとして当時の優勝メンバーも、オ・ジェソクのように強い意欲を持っている。


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