構造調整をしたJリーグがなぜ無条件にロールモデルなのか?
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※一部要約

2013年に韓国プロサッカー連盟が電撃的に明かした年俸公開は、Kリーグの構造調整のための信号弾だった。
1983年にプロサッカーがスタートしてから親企業や地方自治体の出す予算だけに依存してきたクラブの財政状況は深刻な状態だった。
それに対して収益の出ない状況で蔓延した過度の費用支出現象を減らし、財政構造を強固にしようというのが趣旨だった。

このとき、韓国と同じような条件でプロリーグを運営したり同じような困難に直面した他のリーグ、例えば日本・アメリカ・オーストラリアなどのリーグ運営状況が、制度施行の根拠として作用した。
特に最も近い日本Jリーグは20年以上にわたってKリーグクラブの経営改善にとって非常に良い教材とみなされてきた。
実際にプロ連盟をはじめとして各クラブの実務陣が毎年日本にわたり、彼らの良い点を見回して導入しようと務めている。
だが心配な部分がある。
韓国と同じように、市場が萎縮した日本Jリーグの過去と現在を無条件的に学んで導入するのは問題があるからだ。


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1993年にスタートしたJリーグはKリーグと同じような危機に直面したことがある。
後にバブルだと明らかになった1980年代の日本経済復興の力が及ぼす状況でJリーグを始めたからか、各クラブは争うように莫大な資金を出して肉を膨らませた。
世界的なスーパースターが日本で活躍できた背景である。
そのときJリーグは日本プロ野球を脅かすほどの人気を集めた。

だが1990年代末に不況が深刻になって危機を迎えた。
長期不況という国家的経済危機に覆われ、クラブはこれまでに膨らませてきた選手の年俸に耐えるのが難しい水準に達した。
いくつかのクラブの親企業は運営を諦める状況になった。
華やかに出発した日本Jリーグは、10年も経たずに門を閉める危機に瀕したのだ。

このとき、危機を突破できた原動力がまさに人件費縮小だった。
ファンの目を引きつけた世界的スターを放出し、国内選手の年俸も大きく縮小した。
そのため、1998シーズンを基準として、11チームが赤字状態に陥っていた日本は2002韓日ワールドカップ以降、各クラブの経営構造はほぼ改善することに成功した。

今のJリーグ連盟は強力なクラブライセンス制度を基に、各クラブに経営構造の改善を強制している。
3年連続で赤字を記録すれば、リーグから退出させるという条項を発動している。
年俸公開で各クラブの費用を心理的に圧迫している今の韓国と非常に似ている状況だ。
実際にクラブの経営構造改善を推進するにあたって、多くの人がJリーグが危機を脱出したことについて、このときの成功事例を挙げる。


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選手の人件費を大幅に縮小しても1万人を超える平均観客を動員しているので、そう見えるのも当然に見える。
だが表面をなぞっているにすぎない。
上の表は、Jリーグの各クラブがバブルを片付けた直後の2001年から2013年までの観客年齢の推移を説明している。
気の利く人は一瞬で理解したかもしれない。
2001年に29歳以下のファンが何と49.6%に達していたJリーグは、少しずつファン層が高齢化して、今は30代以上のファンが75%を超えている。
2013年基準で40代以上のファンが全体の51.5%を占めている。

これはJリーグ黄金期と呼ばれる1990年代初頭・中盤当時からサッカー場を訪れていたファンが、成長した今でもJリーグの興行構造において絶対的な比重を占めているということだ。
換言すれば、Jリーグは新規に流入しなければならない20代以下の若いファンが極めて稀だったりいないということである。

Jリーグが若くて幼いファンの流入に気を使ってないのではない。
少年サッカーの普及によって優秀なん選手の発掘はもちろん、長期的なファン層を固めるためにかなり注力している。

今では十数年続けてきたので、そうした努力の結実がある程度出てこなければならないときだ。
ところがちょっとおかしい。
計画通りなら構造調整当時に10歳以下基準の子供、つまり今では20代になった若い層が現在の不動のファンと位置づけられてなければならない。
だが2013年基準で20代序盤・中盤のファンが占める比重は、歴代最低である全体の11.8%にすぎない。
これはサッカー底辺拡大という社会貢献やマーケティング活動を通じたスキンシップが、ファン層にしっかりと吸収されてないことを意味する。
さらに毎年その幅は減っている。

皮肉にも今のJリーグを養っているとみなしてもよい30代以上のファンは、Jリーグが苛酷な構造調整をする前、莫大な投資をした時期に作られたファン層である。

だがイシューに敏感で、一度ハマれば抜け出せないライト指向の20代以下のファンはサッと減った。
これは一見盛業中に見えるJリーグの時限爆弾と言える。
長期的観点では興行不振や経営悪化に陥る可能性が高い。
一言で、Jリーグがスモールリーグになるのは時間の問題ということだ。
Jリーグを学ぼうとするなら、こうした間違った部分ももれなく学ばなければならない。


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KリーグがロールモデルとしているJリーグの恥部を示した理由は、過度に製造業的観点で経営構造を改善しようとする判断は間違っているということを突くためである。
Jリーグは構造調整をして人件費から手を付けた。
Kリーグもやはり年俸公開後にまず手を付けたのが選手団の人件費だ。
もちろん選手団の人件費が過度な水準ではあった。

だがその人件費は無条件に無意味な金だったのだろうか?
製造業的観点では高賃金職員の整理など、生産プロセスを改善するのが最優先であるのは間違いない。
だがプロスポーツ産業で選手団の人件費は、工場で働く職員の賃金とは異なる概念だ。
選手は工場内の機械のような資産でもあるが、対外的には商品でもある。
プロスポーツ産業では彼らの価値が高くてこそ、ファンを呼び集めて収益を出すことができる。
Kリーグがロールモデルと目星をつけているJリーグが、過去に比べて優秀な選手がいなくて若いファンにアピールできないのもまさにこのためである。

Kリーグの選手離脱現象が年俸公開後の暴風にともなう現象だけだと見るのは難しい。
Kリーグは商業化するのが難しい水準の少ないファン層、過度に安いチケット代、極めて少ないメディア露出頻度、クラブの行き過ぎた親企業・地方自治体依存の比重など、構造的に相対的不良に覆われている。
さらにアラブ王族や中国富豪に匹敵するほどの財力を備えているクラブもない。
年俸公開がなくても莫大な富を背にした他のアジアに選手を奪われるのは同じだっただろう。

だが収益構造改善によって競争力を持つという名目で、年俸公開をはじめとする自己収縮を対策として出したのは、とてつもない判断錯誤ではなかっただろうか。
先にJリーグは黄金期に呼び込んだファンが今の収益構造を支える主軸と言った。
酷評かもしれないが、Jリーグは1990年代に注いだ投資額の慣性で維持されているリーグと言ってよい。
さりとてKリーグはそれすらもない。
さらに30代以上のファン層が確固としているJリーグとは違い、FCソウル・水原三星・全北現代など数クラブを除けば、ファン層がほとんど壊滅状態だ。

そんな中、Kリーグは年俸公開後に優秀選手が去って技量の良くない選手が位置し始めた。
そうでなくとも少ないファン層に、新たなファンを流入させることもできず、いたファンまで去る雰囲気が醸成されている。
行き過ぎた例えかもしれないが、出火した家の火を消そうと水をかけたが、わかってみると油だったと見ても差し支えない状況が演出されている。

選手団の費用を減らして収益構造を改善するのは、最も容易な対処法である。
だがKリーグが競争力を維持するためには、経営構造改善と同じくらい試合の刺激策も必要だ。
ムチだけでなく人参も必要だという意味である。

ファン、正確に消費者は低質な商品は見ない。
ファンが見なければクラブの収益構造はさらに悪化するだろう。
選手団の人件費など、費用削減によって作った帳簿上の収益ではなく、ファンの財布を攻略する本物の収益を出さなければならない。
忘れてはならない部分だ。



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